2016年8月6日土曜日

別花2016年8月号 パレス・メイヂその二十三感想

夏コミ原稿が終わったら更新しようと思っていたら、
ずるずる遅くなってしまった…。
6巻収録予定分の回のネタバレがあります〜。ご注意ください。


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お律、震災の時に御園の気持ちを思い知ったのに、
前号でまだ全然好きっぽかったので、これは
告白して振られて、区切りをつけるのかな〜?と思ってたら
陛下が御園に好きだと伝えたことを聞いた事から、「自分は「好き」とも
「羨ましい」とも言えなかった、天子様には敵わない」と感じて
自分の気持ちに区切りを付けた、という形でした。なるほどなー。
確かにお律は実家の事も、自分からは御園に言わなかったし、
家出も何も言わずにする一方、陛下は御園には心の内を素直に話すし、
別れの時もきちんと理由を伝えるんですよね。
でも個人的には陛下が正しくて、お律が間違ってるっていうわけでも
ないよなー、と思います。
番子先生もそういう風に書いてるわけではない…ような気がする。
お律は「言っても困らせるだけ」みたいな気持ちが
あるんじゃないかと思うんだけど、
陛下は自分の発言を、どう思うかは相手の問題で
自分が考える事ではない、って割り切ってるような気がする

お律が校正係になる事は、前々から示唆されていたけど、
実家では「本なんか読んでないで働け」と言われていたお律に、
御園が学があると褒めてあげて、眼鏡をあげて、本を貸してあげて
っていう行為が、校正の仕事に就く事に結びついたって事が
描かれていて、なるほどなあ…と思いました。
2巻以降、ほぼ全部最初に構成を決めて描いてるのかなーって
くらい綺麗に収束していってますね。

そして久々に東辻さんと久我さんが登場。
前号の御園が宮様のお供で宮殿に入ったけど、すぐそこに陛下がいるのに
足音を聞くことしかできない、ってエピソードの時に
やっぱり、脳裏を掠めるじゃないですか。
「東辻さんは出仕を辞めた後も、勝手に奥御座所に入ってたのにな〜」って(笑)。
(まあただ引退しただけの東辻さんと、好きだからお別れって言われた
御園じゃ、全然立場違うけど。)
そうしたら御園に「鹿王院宮様の目を盗んで陛下に会おう!」っていう
提案をしてくる、という役を担っての再登場で。
最終的には御園からもお願いしたんだろうけど、やっぱり
御園は性格上一人では、そういう行動を起こす発想にならなかっただろうから
めちゃくちゃ重要な役割を担いましたね…東辻さん。
東辻さんが、御園が陛下の事を好きな事を気づいてるエピソードも、
歌合会始めの時に入ってるから、今回の流れが不自然ではないんですよね。
上手いなー。
東辻さんと久我さん、もう最終回に12コマ「元気です」的に
出てくるだけかと思ってたよ
あと、基本パレスの登場人物で、陛下と御園の恋に協力的な人はいなかったし
ここ最近の御園の孤立無援感が、ちょっと悲しかったので
ようやく御園の為に動いてくれる人が現れて、それも嬉しいなー。

あと今回引きのシーンで出てきた「年の始めの~」の歌
「新春隠し芸大会の歌」というイメージしかなかったんだけど、
ググってみたら明治時代に作られた、天皇陛下を賛美する
内容の正月の歌だったんですね。またパレスメイヂから豆知識を得た

陛下は出番ちょっとだったけど、お裾持ちを拒否するっていうエピソードだけで
凄い破壊力でした。陛下凄いいじらしいし可憐だし、でもちゃんと凛々しいんだよ…。
宮様はアスター夫人のような、本当の事を言ってくれる友人を大事にしてね!
という感じで。別にくっつきはしないだろうけど、陛下より
アスター夫人のような、手のひらの上で転がしてくれるような人の方が
相性良さそう。宮様。

で、次回はようやく再会で、毎年お裾持ちをしたって語られてるから
受け入れられることはわかってるけど、今まで積み上げてきたものが
やっとカタルシスとして結実する回なので、もうめっちゃ楽しみ。

で、次回が6巻収録分の最後の話になるはずだし、再会する話なので
最終回なのか気が気じゃなかったんですが、別花9月号の予告ページで
次回最終回!とは書いてなかったので、どうやら続くっぽい。
「2人が再会して気持ちが通じて、鹿王院宮様とも何らかの形で決着がついて、
御園は宮殿に戻って侍従になって、陛下が退位するまでお仕えしました。
で、退位後は2人で海外で外交の仕事をしつつ、幸せに暮らしました。」
的な内容で終わるのかな~と勝手に思ってました。多少駆け足だけど、
番子先生ってまとめるの上手いし、ここがお話のピークである事は
間違いないので。でも続くのはめちゃくちゃ嬉しいです。

続くとなるとどういう話になるのかなー。
回収されてない伏線って、もう陛下の外交官になる夢と、御園が
それについていけるかっていう事だけかなーと思うので
7巻は、それについての一悶着の話になるのかなあ。
それとも震災の復興の話とか、東宮様が帝になる時の話とか描くのかなあ。
個人的には長く続けば続くだけ嬉しいので、御園が侍従になってから
今までのノリで、ゆるやか宮殿ライフを描いてもらっても凄い嬉しいんですが。
侍従になったら巡幸にも付いていけるから、そういうエピソードもできるし…。
でもきっとそれはやらないだろうなー。

後は「伏線っぽいような気もするし、ただのエピソードのような気もする」って
感じで気になる事柄がちょっとあって。

まず「女帝は結婚・出産禁止のしきたりは解かれるのか」
ってことで、これは宮様とかアレクセイとかが、しきたりは
いずれ変わるって何度も作中で言ってるので。
伏線のような気もするし、単に陛下を口説く男の常套句です、
って言われたらそれまでな気もする
史実でも、大正天皇は明治天皇と違って側室を置かなかったそうだし
実質一夫一妻制で、昭和天皇になって側室制度が廃止されたそう)
陛下が退位する頃にはしきたりが変わるのは
不自然ではない気がするけど、その場合は鹿王院宮様と
結婚するのが筋だろうしな~。
結婚して幸せになりました、っていう大団円も少女漫画だし見てみたいですが
なんかそもそも、今の感じだと二人がそこまでの事を
望まなそうなイメージがある。

後は「御園のモノローグはいつの時点からの回想なのか、
手記や特定の誰かへの語りなのかどうか」
これも別に、特にその情報は明かされなくても、不自然ではないのだけど
8月号(今回の話)で佐伯さんが「いずれは独占手記でも書かせて
がっぽり回収させようと思ってたのに」的な事を言っていたので、

「お?モノローグの回収フラグか?」とちょっと思いまして。
まあ手記を書くにせよ、よっぽどの状況や心境の変化がないと
出版は無いだろうな〜とは思うけど。

凄い長々書いてしまった。とにかく次回はやっと再会だし
巻頭カラーだしでめちゃくちゃ楽しみです。