2016年11月3日木曜日

別花2016年12月号 パレス・メイヂその二十五感想

7巻収録予定回のネタバレがありますので、お気をつけください。














東宮侍従編が始まりました
御園が、こんなに色んな人に仕える展開になるなんて4巻までは全然思ってなかったです。
この展開を踏まえて2巻の「私の主は陛下お一人」を見返すと凄いグッと来ますね。

参考文献の何か(多分明治宮殿のさんざめきか明治天皇の一日のどちらか)で、
出仕はほとんどそのまま侍従になる、って話が書いてあったのでパレス・メイヂの
作中でもそうなのかなと思ってたんですが、違うっぽいですね。
東宮侍従、御園以外はおじさんだし、3人だし採用枠が空くの十年に一度とかなのでは
アスター夫人が、この上ないご出世と言っていた理由がわかりました。

お話は震災以降の話の中で一番「いつものパレス・メイヂ」っぽい話だったな~と思いました。
15巻前半の頃雰囲気に戻ってきたな~と。陛下ももう半分折れたような感じですし。
5巻の時は、陛下に何も言えないまま戸を閉められてしまった御園が、
陛下に言い返せるようになりましたね。
(あの地震で全てを失った直後に、抱擁・告白・別れのコンボを
喰らって固まるなっていう方が難しいけど)

あとアスター夫人の「宮様は本当は御園が好き」発言が結構びっくりでした。
えっそうだったの!?笑
「ムカつくけど実は嫌いじゃ無い」くらいかと思ってた
じゃあもういよいよ障害無いじゃん‼︎

当分こんな感じの距離感で過ごすのかな。
御園は東宮様に「ずっと」お仕えするわけではないと伝えたようですけど。
東宮様とよき主従と呼ばれるようになるんなら、
ある程度の年月は東宮様の下にいるんだろうし、陛下の退位までは東宮侍従で、
東宮様が即位したら陛下の外交に付いて行くのかな。

そしてやっぱり残り3話で7巻完結だそうで。(久世先生がツイッターで言ってました)
6巻完結を覚悟していたのでそんなにショックじゃないけど、やっぱり寂しいですね。
単行本未収録のショートショートが三本くらいあるので、
それを収録するなら、最終巻が結構厚くなりそうなんですが
もしかして収録しないのかなあ
最終回で東宮様即位とか、陛下の外交とかの後日談が見れたら嬉しいな~。
あと東宮様のお后様とかも見れたら嬉しい。

とりあえず今は、次回と6巻のカバーお披露目が楽しみです。

2016年9月2日金曜日

別花2016年10月号 パレス・メイヂその二十四感想

パレス・メイヂ六巻収録予定回の感想です。
ネタバレがあるので、ご注意下さい〜。








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1巻最後のモノローグの「毎年お裾持ちの栄誉を賜った」=
今回の新年会で陛下の元に戻る、という事だと完全に思い込んでいたので
「裾は持つけど陛下の元には戻らない」展開にびっくりしたー!
でもとっても良い泣ける回でした。

もう冒頭の、陛下と典侍様とのやり取りからして泣けた
「おかげで楽しい日々だった」って所とか。
典侍様は1巻の時点だと、まあそんなに言うならしょうがないか
、って感じだったけど、いつの間にかそこまで覚悟を決めてたんですね。
アスター夫人も、鹿王院宮様を諌める感じになってるし、
ちょっと前に真珠様のお許しも出たし、後は本当に陛下の気持ち1つ
(と宮様)だけになって来たな~。

陛下が裾を引っ掛けて御園がとっさに飛び出してからの、流れが素晴らしくて。
二人の表情の変化がとても良かった。
あと今回はもう、ラストの「東宮侍従御園公頼と申します」の
破壊力が凄くて、「第一部完」って文字が見えるかのようだった。
あと東宮様が御園に懐いてるの、凄い萌える。
こんなの将来、三角関係になってしまう…(ならない)。
鋼の錬金術師の最終回でも、エドとアルがスーツ着てたの凄い
グッと来るものがあったし、少年の成長ストーリーにおいて、
大人になった象徴として衣装替えするの凄い好き。
個人的には、子爵服より侍従の燕尾服の方が好きだなー。


六巻収録回どれも凄く良かったなあ。
六巻は御園が大人になるまでの話だったんですね…。
あと何よりまだ続くっていうのが嬉しい。また先が読めない感じなんだけど、
新キャラとか出るのかなあ。東宮様が即位する所とかも、
描かれる感じなんでしょうか。アレクセイ殿下とかもまた出てきて欲しいな~。
今回を読んでからまた一巻から読むと、二人共遠い所に来たねぇって
思うし、青春の儚さに泣けます。

2016年8月6日土曜日

別花2016年8月号 パレス・メイヂその二十三感想

夏コミ原稿が終わったら更新しようと思っていたら、
ずるずる遅くなってしまった…。
6巻収録予定分の回のネタバレがあります〜。ご注意ください。


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お律、震災の時に御園の気持ちを思い知ったのに、
前号でまだ全然好きっぽかったので、これは
告白して振られて、区切りをつけるのかな〜?と思ってたら
陛下が御園に好きだと伝えたことを聞いた事から、「自分は「好き」とも
「羨ましい」とも言えなかった、天子様には敵わない」と感じて
自分の気持ちに区切りを付けた、という形でした。なるほどなー。
確かにお律は実家の事も、自分からは御園に言わなかったし、
家出も何も言わずにする一方、陛下は御園には心の内を素直に話すし、
別れの時もきちんと理由を伝えるんですよね。
でも個人的には陛下が正しくて、お律が間違ってるっていうわけでも
ないよなー、と思います。
番子先生もそういう風に書いてるわけではない…ような気がする。
お律は「言っても困らせるだけ」みたいな気持ちが
あるんじゃないかと思うんだけど、
陛下は自分の発言を、どう思うかは相手の問題で
自分が考える事ではない、って割り切ってるような気がする

お律が校正係になる事は、前々から示唆されていたけど、
実家では「本なんか読んでないで働け」と言われていたお律に、
御園が学があると褒めてあげて、眼鏡をあげて、本を貸してあげて
っていう行為が、校正の仕事に就く事に結びついたって事が
描かれていて、なるほどなあ…と思いました。
2巻以降、ほぼ全部最初に構成を決めて描いてるのかなーって
くらい綺麗に収束していってますね。

そして久々に東辻さんと久我さんが登場。
前号の御園が宮様のお供で宮殿に入ったけど、すぐそこに陛下がいるのに
足音を聞くことしかできない、ってエピソードの時に
やっぱり、脳裏を掠めるじゃないですか。
「東辻さんは出仕を辞めた後も、勝手に奥御座所に入ってたのにな〜」って(笑)。
(まあただ引退しただけの東辻さんと、好きだからお別れって言われた
御園じゃ、全然立場違うけど。)
そうしたら御園に「鹿王院宮様の目を盗んで陛下に会おう!」っていう
提案をしてくる、という役を担っての再登場で。
最終的には御園からもお願いしたんだろうけど、やっぱり
御園は性格上一人では、そういう行動を起こす発想にならなかっただろうから
めちゃくちゃ重要な役割を担いましたね…東辻さん。
東辻さんが、御園が陛下の事を好きな事を気づいてるエピソードも、
歌合会始めの時に入ってるから、今回の流れが不自然ではないんですよね。
上手いなー。
東辻さんと久我さん、もう最終回に12コマ「元気です」的に
出てくるだけかと思ってたよ
あと、基本パレスの登場人物で、陛下と御園の恋に協力的な人はいなかったし
ここ最近の御園の孤立無援感が、ちょっと悲しかったので
ようやく御園の為に動いてくれる人が現れて、それも嬉しいなー。

あと今回引きのシーンで出てきた「年の始めの~」の歌
「新春隠し芸大会の歌」というイメージしかなかったんだけど、
ググってみたら明治時代に作られた、天皇陛下を賛美する
内容の正月の歌だったんですね。またパレスメイヂから豆知識を得た

陛下は出番ちょっとだったけど、お裾持ちを拒否するっていうエピソードだけで
凄い破壊力でした。陛下凄いいじらしいし可憐だし、でもちゃんと凛々しいんだよ…。
宮様はアスター夫人のような、本当の事を言ってくれる友人を大事にしてね!
という感じで。別にくっつきはしないだろうけど、陛下より
アスター夫人のような、手のひらの上で転がしてくれるような人の方が
相性良さそう。宮様。

で、次回はようやく再会で、毎年お裾持ちをしたって語られてるから
受け入れられることはわかってるけど、今まで積み上げてきたものが
やっとカタルシスとして結実する回なので、もうめっちゃ楽しみ。

で、次回が6巻収録分の最後の話になるはずだし、再会する話なので
最終回なのか気が気じゃなかったんですが、別花9月号の予告ページで
次回最終回!とは書いてなかったので、どうやら続くっぽい。
「2人が再会して気持ちが通じて、鹿王院宮様とも何らかの形で決着がついて、
御園は宮殿に戻って侍従になって、陛下が退位するまでお仕えしました。
で、退位後は2人で海外で外交の仕事をしつつ、幸せに暮らしました。」
的な内容で終わるのかな~と勝手に思ってました。多少駆け足だけど、
番子先生ってまとめるの上手いし、ここがお話のピークである事は
間違いないので。でも続くのはめちゃくちゃ嬉しいです。

続くとなるとどういう話になるのかなー。
回収されてない伏線って、もう陛下の外交官になる夢と、御園が
それについていけるかっていう事だけかなーと思うので
7巻は、それについての一悶着の話になるのかなあ。
それとも震災の復興の話とか、東宮様が帝になる時の話とか描くのかなあ。
個人的には長く続けば続くだけ嬉しいので、御園が侍従になってから
今までのノリで、ゆるやか宮殿ライフを描いてもらっても凄い嬉しいんですが。
侍従になったら巡幸にも付いていけるから、そういうエピソードもできるし…。
でもきっとそれはやらないだろうなー。

後は「伏線っぽいような気もするし、ただのエピソードのような気もする」って
感じで気になる事柄がちょっとあって。

まず「女帝は結婚・出産禁止のしきたりは解かれるのか」
ってことで、これは宮様とかアレクセイとかが、しきたりは
いずれ変わるって何度も作中で言ってるので。
伏線のような気もするし、単に陛下を口説く男の常套句です、
って言われたらそれまでな気もする
史実でも、大正天皇は明治天皇と違って側室を置かなかったそうだし
実質一夫一妻制で、昭和天皇になって側室制度が廃止されたそう)
陛下が退位する頃にはしきたりが変わるのは
不自然ではない気がするけど、その場合は鹿王院宮様と
結婚するのが筋だろうしな~。
結婚して幸せになりました、っていう大団円も少女漫画だし見てみたいですが
なんかそもそも、今の感じだと二人がそこまでの事を
望まなそうなイメージがある。

後は「御園のモノローグはいつの時点からの回想なのか、
手記や特定の誰かへの語りなのかどうか」
これも別に、特にその情報は明かされなくても、不自然ではないのだけど
8月号(今回の話)で佐伯さんが「いずれは独占手記でも書かせて
がっぽり回収させようと思ってたのに」的な事を言っていたので、

「お?モノローグの回収フラグか?」とちょっと思いまして。
まあ手記を書くにせよ、よっぽどの状況や心境の変化がないと
出版は無いだろうな〜とは思うけど。

凄い長々書いてしまった。とにかく次回はやっと再会だし
巻頭カラーだしでめちゃくちゃ楽しみです。

2016年5月16日月曜日

パレス・メイヂ 5巻 其ノ十七 感想

貝合わせの回。

松葉の典侍様にかたつむりをあげる幼女陛下が、可愛いのなんの。
池の鯉も松葉の典侍に「やる!」ってあげてるけど
一巻で東辻さんと久我さんも、鯉を釣った事も
あったなあ〜って言ってたしパレスの鯉、難儀すぎる(笑)。
お高いんでしょうに。

パレス・メイヂの登場人物って、時代や身分的にも女性
(陛下・真珠・御園姉とか)は特に自分の生き方を選べない
境遇の人ばかりなので、もちろん恋が上手くいかないとか
ままならない事はあれども、好きな人と結婚できないなら
と自分の意志で女官の道を選んで、その中で陛下を
お守りするっていう喜びも、自分でちゃんと見つけている
松葉の典侍は幸せだし、登場人物の中で一番
現代人に近い価値観の女性なのかも?と思う。
松葉の典侍も、柏木翁も大膳の梅山さんも、今までフォーカスが
当たった臣下の人達は、皆それぞれの立場から十分に
陛下の事を思ってるんだけど、震災の回を見ると
それでもやっぱり、陛下は孤独なんだよな〜と思って
ちょっと一抹の寂しさを感じたりもする。

御園は、アスター夫人の世知を理解する賢さがありつつも
少年らしい素直さが、同居してる所が良いなあ。
スレちゃいそうなものだけど、スレてないし。

あと最後のアスター夫人と陛下のやりとり。
陛下が誰かに御園への感情を問われるのは、アスター夫人で三回目。
一回目は松葉の典侍で、一巻で「御園の事をどうお思いなのでしょうか?」
と聞かれて臆面も無く肯定する。ノリノリで、聞かれてないのに
理由まで添えて(笑)。二回目は三巻の時の真珠で
「恋をしているようなおっしゃりよう」と言われて
「良くわからぬ」と否定も肯定もしない。
そして、三回目のアスター夫人には、愛しているのかと
(間接的に)問われて、「少し違うな」と否定している。
恋愛として意識していなかった最初の頃は、あっさり肯定していたのに
気持ちが育っていくにつれ、最後には否定するようになる。
陛下の気持ちの変化が良くわかる。
この時点で、もうほとんど認める寸前だったんだろうな〜。

2016年5月12日木曜日

別花2016年4月号 パレス・メイヂその二十一感想2

21話の感想は以前にも書いてるんだけど、
http://fennel88.blogspot.jp/2016/03/20164.html
読みかえしてたらまた書きたくなってしまいました…。
6巻の1話目に収録予定の回です。
今回はあらすじをがっつり書いてます。ネタバレにご注意下さい。














今回は三巻収録の其の九(真珠の回)と連なる、涙が鍵になる話。

彰子様に別れを告げられて、失意のまま京都に避難している
兄の元に向かおうとした御園は、偶然同じ汽車に乗り合わせた
真珠と再会し明慈帝崩御と、彰子様即位までの昔語りを聞く事になる。
臣下達が、病床の明慈帝の回復を願う一方で大喪(帝の葬式)の準備を
進めている事を知り、ショックを受ける彰子様。
そして当時の彰子様の寂しさを想う御園。重臣達が病床の明慈帝に
践阼の勅許をもらう役目を押し付け合っている事を知り、辛い気持ちをこらえて
自分がその役目を引き受ける彰子様。
自分の死期を悟り、彰子様が帝の重責を背負わなくてはならない事に
気づいていた明慈帝は、彰子様のその強さが心配だと語り
「泣いても良い、今なら涙を拭ってやれる」と声をかけるが、病床の父への思いやりから
彰子様は泣かずに父を励ます。そしてついに明慈帝は崩御してしまうが、
その時にも感情を表に出さず、軍服を着込み践阼式に臨む。
彰子様はこんなに強い方で、帝としての責務をなによりも大切にしている。
だから彰子様の事は諦めなさい、という真珠の弁。
しかしその言葉に違和感を感じ「じゃあ何故そんな強い方が、私なんかで
悩み苦しまれると心配したんですか?」と返す御園。
御園の問いに、言葉を詰まらせる真珠。
彰子様は何故、自分との別れの時に涙を見せたのか。
どれだけの悲しみ故のものだったのか。明慈帝の前ですら泣けない、
彰子様の涙を拭えるのは誰なのか。それに気づいて涙をこぼす御園。
今までも作中で、涙は成長のモチーフとしてしばしば登場してきた。
真珠が、明慈帝の涙を拭った時。彰子様が、内親王時代に真珠が
泣いていた理由を理解した時と御園の前で涙を流して別れを告げた時。
それぞれ涙を流して(拭って)、過去の自分と決別してる。
御園の涙も少年時代との決別であり、汽車を途中で降りて帝都に戻る事を決意する。


以上が(勝手な見解を加えた)流れ。彰子様の強さと弱さと御園への想いが
伝わってくる素晴らしい回だった~。まさかの真珠登場にびっくりした。
出てくるなら彰子様側だとばかり思ってたので。
二人とも公家華族だから、京都にルーツがあるんだろうな…多分。
20話のお別れのシーンって、単独で見ても凄く良いんだけど
この回を読むと意味が上乗せされて、より感動的になる。
当たり前だけど御園は読者程には、彰子様の御園への想いを知らなかったんだよなあ、と。
彰子様が軍服を着るシーン、無表情で凄く痛々しい。
帝になる前の彰子様って、今の東宮様みたいに天真爛漫なんだけど
帝になってから、感情を表に出さないようにしてたんだな~っていうのがよくわかる。
御園の前だと表情を出すように段々なっていくんだよね。
「寂しかったのはあなたもでございましょう 陛下」のコマが好き。
汽車の動きや音が効果的に差し込まれてて、凄く映像的だった。
アニメにしたら凄く良いと思う…!
何回でも言う、パレス・メイヂアニメ化して白泉社さん…!円盤買うから…!

概ねいつも彰子様の事を陛下って書いてるんだけど、
今回は明慈帝が出てくるので彰子様としました。終わり。

2016年5月10日火曜日

パレス・メイヂ2巻 其ノ六感想

修学院行幸の回。
週3日も働いてるのに、中の中の成績をキープしている御園はむしろ偉い…。
でも黒田君には、進級が割と本気で危ういって言われてるから
中の中は陛下の前だし、多少盛ってる発言なのかもしれない。
中の中の成績の人は進級危うくならないよね普通…。
普段は若い身でありながら、身分と役割を十分に弁えてる二人が
お互いへの想いが揺らめく時に垣間見せる、少年少女らしさが鮮やか。
無意識に「御園!」と目を輝かせて応援してしまう陛下が可愛らしいし
その声に応えて「負け姿を見せたくない」と矜持を見せる、御園が凛々しい。
御園のかっこよさを「選抜学生に選ばれるようなハイスペック」としないで
こういうエピソードで見せてくれる所が、この漫画の魅力だな〜と思う。
帰り道で陛下が「今日は色々見ることができて良かった」って言ってる時の
コマの地面に倒れこんでる御園が、陛下に笑いかけてるんだけど
これは描かれてないけど、陛下が笑ってたからこその
笑顔なのかな〜と思う。めっちゃ青春。
「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」の世界だわ…。

パレス・メイヂ2巻 其ノ五感想

歌御会始の回。この回は特にお話の完成度が高くて、とても好き。
陛下の恋心(未満の淡い想い)を詠んだ歌は、より帝らしくという指導により
歌人・柳原詩子に改編されてしまう。けれど東辻が順番を間違えたおかげで、
ほとんど柳原作に成り果てていた陛下の歌は、柳原の作として詠まれ
陛下の本来の歌はその想いの相手である、御園がよむ事となる。
奇しくも理想的な形でよまれた歌だけれども、肝心の御園には
歌に込められた陛下の想いは伝わらず、ただ一人、同じく御園に
想いを寄せるお律だけが、歌から陛下の想いを読み取る。
両想いなんだけど、微妙にすれ違っている二人の恋心を表現した、素敵な話。
御園が御製をよむ場面は描かず、最後の最後にお律が歌を読む所でやっと
陛下の歌の内容が明かされる…という構成がニクい。
トラブルメーカーの東辻さんと東宮様も可愛い。
読むたびにアニメで見てみたいなぁと思う。


2016年4月30日土曜日

別花2016年6月号 パレス・メイヂその二十二感想

コミックス6巻収録予定回の、ネタバレをしています。
ご注意下さい。

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つ…辛い。上げられて結局落とされる御園が、見ていて辛い回。

鹿王院宮邸という新しい舞台と、宮様と御園のお互い
腹に一物ある間柄の新しい主従関係。
宮様の御園への弟呼びが胡散臭くて、良い…。
御園と主従ではなくなったお律(実質まだ主従みたいなものだけど)と
陛下の従者では無くなり、宮様のお供としてでなければ宮殿へ入れなくなる御園。
今まで宮殿内で散々「身分が低い」って言われていたのに
鹿王院宮邸の女中さんに「雲の上のお方」と言われている事が
宮殿から宮家へ、舞台が一階層下がった事を示している。
全ての主従関係がリセットされた中で、変わらないのは
友人である黒田君との関係だけ。
(黒田君の存在は、今回かなり救い…!)

宮様にお茶屋に連れてかれちゃう辺りも、御園が
少年の世界から、大人の世界に移った事を象徴している。
そしてついに御園が宮様に対して、自分が彰子様に
恋をしている事を認め、諦めない事宣言。
今までは「そんな畏れ多い、自分は籠になりたいだけ」って
感じだったので、これも変化した部分。
お茶屋のシーンは「さあ干しなさい」の所の御園が、鹿王院宮様を
睨みつけてる顔つきとか(こんな顔を宮様にする事は今まで無かった…)
おちょこを持ってる手つきとかも、作法をわかっている感じが出てて
わー!大人になったー!と思った。
今までと違って、宮様と張り合う覚悟を決めた感じ。
でも一気飲みして倒れて、おぼこいって言われちゃう少年らしさを
残してる所も良い…!「恋にやつれる弟を〜さあ干しなさい」の
宮様の台詞も時代がかっててかっこいいし、お茶屋の雰囲気も
貴族の遊び場って感じで、この一連のシーンはとても好き。萌え!

御園の夢の中に出てくる彰子様の「御園 目を醒ませ」は
悲しそうな表情と相まって「私たちが恋なんてできるわけは
ないじゃないか、目を醒ませ」って言ってるように見えて悲しい。

そしてお律が、自分のせいで御園が出仕の職を
失った事に気づき失踪(?)してしまった。
御園は震災で、お律以外のほとんど全てを失ってしまったなあ…と
思っていたら、追い打ちをかけるようにお律まで。
ヒーローはクライマックスを前に、窮地に追い込まれるものなのだなー。
指輪とお律は、物語の成就にどんな役割を果たすのだろう。

正直今月号で、収束の糸口が見えると読んでる側の心理としては
楽だったんだけど、収束どころか新たな問題(お律の失踪)まで出てきて
よりどうなるかわからなくなってしまった。
完結後は「この会えない期間が効いてるわ〜必要なエピソードだわ〜」って
絶対思うんだろうけど、リアルタイムで読んでると、辛いから
どんなに足早になっても良いから、早く解決して!って思ってしまう。
読者って身勝手ですね。次回も楽しみ。

2016年3月2日水曜日

別花2016年4月号 パレス・メイヂその二十一感想

もう今回はなんか「胸が痛いです」としか言えない…。
最近はずっとそんな展開だけど。

まずは、扉の御園の横顔がシンプルなんだけど素敵〜。
御園の心情は、一切言葉にはされてなくて
表情で全てを物語っている演出で、その為か今回は御園の
顔がめっちゃ綺麗だった気がする。ずっと憂い顔だったけど。
表情がくるくる変わるキャラの御園が、1話丸々笑わなかったのは
初なんじゃないかな。

彰子様即位の時のエピソード、この時15歳くらいかな?
軍服を着るシーンが、痛々しくてかっこよかった。
そして、彰子様は父親に泣いても良いって言われても
父親が死んだ時にも涙を見せない強い人だけど、御園との
別れの時は泣いてしまうし、その涙を見せてしまう…。
彰子様、本っ当に御園にしか甘えないし
弱い所を見せないんだね…という萌え…!
彰子様の御園への思いって、いつも私の想定のちょっと上を行く。

そして「何故心配したんですか?」という御園の問いに
言葉を詰まらせる真珠様。
これは、本当は真珠様も「彰子様も本当はそんなに強くない」って
わかってるからだよね。それでも彰子様の側に御園を
置きたくないのは、彰子様に対する独占欲…?というか
「私は立場を弁えて(本当は側に居たいのに)
東宮様や彰子様と距離を取ってるんだから、あなたも
立場を弁えてよ」って感じかな。

お律は、付け込むなら今がチャンスだし、自分も御園と
お別れなのに「天子様の事はもう良いんですか⁉︎」って
声をかけててめっちゃ良い子。
何らかの形で報われて欲しいな〜。

そしてまた2ヶ月…。隔月刊は長いな〜。
早くくっつく所が見たいけど、それイコール最終回っぽいので
来て欲しさと欲しくなさが入り混じった矛盾。

2016年2月24日水曜日

別花2016年2月号 パレス・メイヂ感想

別花2016年2月号 パレス・メイヂ感想

もうすぐ4月号が出ちゃうので、おそ過ぎなんだけど
続きを読んでからだと見え方が変わってしまうので、今更ながら感想投下。
ネタバレが含まれるので、単行本派の方はご注意下さい。







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非常時に一番にお互いの事を思っても、身分差故に身一つで会いに飛んでいけない二人が切ない。
そして陛下が、民衆や鹿王院の宮様の言葉から追い詰められてくのが辛い。(でも苦しむ陛下は萌える…)
こういう時いつもなら御園が助けてくれていたはずで、
御園が陛下の側に居た事って本当に重要だったんだなー。

御園は出仕の仕事も将来の夢も学業も、全部が陛下を中心に回っているような子だけど
それに対して陛下は巡幸の時も最初は寂しいとは思ってないし、外交の夢も御園とは関係が無いし
陛下はなんでも御園中心というわけではないな~という感じなんだけど、
相手がいないと駄目なのは意外と陛下の方なんだな~。
そして美しかった告白シーン。あぁ、御園は文字通り全てと引き換えに
陛下の愛の告白を得たのか…!と。神様(作者)は手厳しい。
でもなんせ帝の愛の告白だから、そのくらいの代償がないと手に入らないのか。

次号は果たして時間が飛ぶのか飛ばないのか、御園は今後の身の振り方はどうするのか、
今までの物語の舞台が全て破壊された上での始まりなので、全然読めない展開で悶々とする~。
ただ、1巻ラストで「陛下のご在位中、毎年お裾持ちの栄誉を賜った」って言ってるので
おそらく、1年経たないうちには宮殿に戻るんだろうな~という予測はできるので
まだ心穏やかでいられる。(でも「震災後は数年間新年祝賀会を自粛した」とか
いくらでも辻褄を合わせる事はできるよなあ…とも思う…。)

次号では御園が頑張る姿が見られるのかなー。
もう、陛下に拒絶されちゃうともうどうやったら再会できるのか
全然わからないんだけど(笑)、やっぱり御園と陛下が頑張って幸せになる姿が見たいのです。